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高森明勅
2012.7.18 11:42

イジメの厄介さ

子供のイジメを甘く見てはいけない。

様々な厄介さを抱えている。

思いつくままに、イジメの厄介な点をいくつか挙げてみよう。

まず、イジメはほんの些細なことから始まることが多い。

だから、いつ始まったのか、なぜ始まったのか、大人からは簡単に見定めにくいケースが、結構ある。

次に、イジメられている子供が、イジメられている事実を、自分から進んで親に話すことは、まずない、
と思っておいた方がいい。

親が好きな子供は、親に自分が「弱い」とか「劣っている」などと思われたくない。

自分がイジメられていることを親に知らせるのは、子供にとっては「弱い」「劣っている」自分を晒すようで、
なかなか出来ない。

子供のプライドの問題だ。

これは大人は見落としがちだが、子供にとって、最も重要な問題とも言える。

何しろ、このプライドを守る為に、親には一言も相談しないまま、
むしろ自殺を選ぶ場合があるくらいだから。

従って、大人がイジメ解決に介入する場合、イジメられている子供のプライドには最大限、配慮しなければならない。

一方、イジメている子供は、自分がイジメているという自覚を、はっきり持っていないケースがある。

また、イジメている子供自身、色々と「辛さ」を抱えていて、
それから逃れる為に、イジメに走っていたりする。

イジメっ子が以前、激しいイジメに遭っていたという場合も、決して珍しくない。

更に、その子の親になると、「うちの子がイジメなんかするはずない」と思い込んでいるのが、普通だ。

だから、イジメがある、という事実を確定すること自体、
一筋縄ではいかない。

しかし逆に、イジメの事実さえ確定出来れば、実はもう殆ど解決法は見えていると言っていい。

但し、教師でも親でも、一旦、大人が介入したら、完全解決まで、徹底的にやり遂げなければならない。

そうしないと、大人の目の届かない所で、イジメはより陰湿かつ悪質な形でエスカレートしてしまう。

これも厄介な点だ。

だが、いささか逆説めくが、そうしたイジメの厄介さを十分、
見極めた上で、親が最後までやり抜く決意を固め、
教師と手を携えて、慎重かつ果断に取り組めば、
多くの場合、解決の糸口は意外とスムーズに見つかるはずだ。

イジメは本来、子供本人が解決するのが、一番望ましい。

それが無理でも、担任の教師とか、学校の取り組みによって解決出来れば、それに越したことはない。

実際に、そのようにして解決しているイジメが、一杯あるだろう。

だが残念ながら、親が介入しなければならない場合も、絶無ではない。

自ら好んででしゃばるのではないが、我が子を守る為に、
どうしても親が立ち上がるしかない時だってある。

子を持つ親は、常にその覚悟を秘めているべきだろう。

第一、我が子がイジメを受けていることを、
子供がどれだけ隠していても、いち早く気付けるのは、
毎日寝食を共にしている親のはずだ。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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